《開催レポ》奈良酒ガストロノミーディナーイベント@奈良ホテル(10/22開催)

日本清酒発祥の地・奈良で蔵元のお話と奈良ホテルのスペシャルなお料理を楽しむ

“日本が誇る食文化・和食。そのルーツは奈良にあり”と、「日本の食の聖地巡礼・NARA」プロジェクトは、日本の食のルーツを知り、文化を体験できるガストロノミーツーリズムを企画。2023年度も多彩なプログラム6本がスタートしました。
その第1弾が10月22日、〝関西の迎賓館〟として誕生し、100年の歴史を持つ奈良ホテルで行われました。 約50名のゲストには外国人も2割近くおられ、出品酒の説明は日本語・英語のものを用意、同時通訳ガイド2人がスタンバイしての開催です。
※ 本イベントは、観光庁地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業の実証第一弾として実施しました。日本清酒発祥の地であり、様々な日本の食文化のルーツを持つ奈良から国内外に向けて新たなNARAブランドを発信し、増え続ける訪日外国人をターゲットとして新たな商品造成と販路開拓を行うことを目的としています。

JNO 古谷拳一氏のファゴット&高倉圭吾氏のピアノ演奏で開演

スペシャルなディナーは、JNO(ジャパン・ナショナル・オーケストラ) 古谷拳一氏のファゴット高倉圭吾氏のピアノ演奏で始まりました。JNOは、世界的な音楽家の反田恭平氏が設立し、奈良を拠点に活動、奈良から世界へ音楽を発信しています。 

ファゴットの豊かで歌うように流れる音色と繊細で表情豊かなピアノの調べを聴きながら、これから始まる特別な時間への期待を膨らませました。

ウェルカムドリンクはクラシックを聞かせた日本酒『奈音‐NAON‐』

さてお待ちかねのウェルカムドリンク『奈音』です。『奈音』は、発酵過程でクラシック音楽を丸々1か月間聴かせた日本酒で、2022年12月に奈良で開催された第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムのウェルカムレセプションで振る舞われ、高評価を得ました。

その蔵元である奈良豊澤酒造株式会社代表の豊澤孝彦氏がその紹介をされました。「科学的根拠はありませんが、人間が音楽に癒やしや高揚感を覚えるように、酵母菌も同じ生き物なので期待しました。昨年も好評をいただきました通り、チャーミングな味わいに仕上がったと思います」と挨拶。参加者は、ファゴットとピアノの演奏を聴きながらグラスを手に『奈音』の香りと味を確かめ、目を細めたりうなずいたりされていました。

奈良豊澤酒造株式会社代表 豊澤孝彦氏

奈良県酒造組合の北岡篤会長から奈良の酒造りの歴史と蔵元から本日のお酒の説明

奈良県酒造組合の北岡篤会長が挨拶に立ち、日本清酒発祥の地・奈良の酒造りの歴史等と〝これまでの酒・これからの酒としての奈良酒〟について話し、「清酒の原型ができた奈良だからこそ日本酒の聖地として奈良と奈良酒をよりアピールしていきたい」と抱負を語り、「皆様にも本日楽しんでいただけましたらそれを広くお伝えいただきたい」と結びました。

続いて喜多酒造(株)の喜多整社長、菊司醸造(株)の駒井大社長、(株)今西清兵衛商店の吉田哲也課長らが本日のお酒についてその由来や仕込みの特徴・味わいなど簡単な紹介をしました。

奈良ホテルの酒ディプロマによるお酒とお料理のペアリングレクチャー

前菜に続いて中央大テーブルにブッフェ用の皿盛り料理が配膳される中、奈良ホテルの酒ディプロマ、乾誠さんと吉田美奈子さんから本日の料理とお酒のペアリングや相性の説明がありました。

日本酒は酒米の品種、醸造工程、提供される温度によって風味や味わいが異なるものだということ、奈良では15世紀に行われていた「菩提酛」による酒造りがあり、現在10蔵がそれぞれに復元・伝承していることを説明。

当日は、「菩提酛」による「はじまりの酒」を2種類、17世紀から伝わる手法による「伝統の酒」を5種類、新しい手法による「これからの酒」を4種類用意したことを伝えました。

そして食前酒には発泡性のあるもの、まろやかな味のものには丸みのある酒、しっかりとした味のものにはコクとキレのある酒、醤油やみそをつかった料理には発酵ニュアンスのあるものを合わせると相乗効果で料理もお酒もよりおいしくいただけるとアドバイスしました。

ホテル肝いりの料理とお酒のマリアージュを ブッフェスタイルで堪能

海山の幸に大和野菜や奈良漬、ヤマトポーク、三輪にゅう麺など地産のものもふんだんに取り入れた品数豊富なブッフェ形式の料理に、天婦羅もその場で揚げながら提供しました。ゲストは好みの料理とそれに合う日本酒選びを、酒ディプロマや蔵元に相談しながら選んでいました。外国人ゲストには通訳ガイドが随時サポート、お酒の特徴についてわかりやすく説明していました。
宴もたけなわの頃、再び古谷氏と高倉氏が登場。『奈音』に聴かせた曲『人知れぬ涙』(ガエターノ・ドニゼッティ《愛の妙薬》より)を演奏、美酒美食の宴をさらに盛り立てるBGMとなりました。

料理と日本酒のペアリングを存分に満喫!

ゲストは、ご夫婦や友人とペアでお見えの方が多い中に、四世代家族や関東からお一人で参加の方もいらっしゃいました。「奈音、フルーティーでチョコレートのような風味が感じられる」、「すべて試しました(笑)。奈音と○○が良かった」、「5年物の古酒、シェリー酒のようなナッティーさがいいね。燗でいただいてみたらより良かったよ!」、「樽酒の香りが素敵でした」という声が聞かれました。「日本酒それぞれが微妙に違うね。温度による味変が楽しめる」とか「ワインも大好きだけど、ワインに比べて飲みやすい♪」と話したフランス人もおられました。日本人の方の中にも「こんなにいろいろなお酒があって、いろいろな楽しみ方ができる! 料理の風味が多彩になりより味わい深くなる。日本酒のイメージが変わりました」と喜ばれている方が多かったです。
一様に「奈音」人気は高く、その他のお酒についてもそれぞれお気に入りを見つけて、何度もお代わりされていました。皆様、2時間あまりのディナータイム、まさに美酒佳肴のひとときをたっぷり堪能されたあと、三々五々ホテル用意の送迎車で大和の間を後にされました。
当日の日本酒と料理

【はじまりの酒】
・菊司 菩提酛 純米古酒  ・鷹長 菩提酛 純米無濾過生原酒 
【伝統の酒】
・春鹿 純米 超辛口  ・大倉 ひのひかり 山廃純米大吟醸 無濾過生原酒
・吉野杉 樽酒  ・大吟醸 白檮  ・儀助 特別純米 山田錦 無濾過生原酒
【これからの酒】
・春鹿 発泡清酒 ときめき  ・風の森 露葉風507  ・大吟醸 豊祝 奈音‐NAON‐
・みむろ杉Dio Abita  ・鶯の杜 梅酒
【個人盛り料理】
・サザエ味噌焼き  ・奈良漬と大和マナキッシュ  ・自家製パテ ソテー味噌茸添え
・柿生ハム  ・スクランブルエッグキャビア添え
【ブッフェ料理】  
・鰹のたたき 大和橘ポン酢ジュレ  ・法蓮草のお浸しとつくね  ・シーフードマリネ  ・ポーク肩ロースの野菜ロール  ・ちらし寿司ガトー仕立て  ・海老のフリット チリソース  ・鶏とナムルの和え物  ・サーモンのパイ皮包み焼き  ・奈良県産ポークの角煮  ・国産牛のしゃぶしゃぶ  ・焼き鳥 薬味比べ  ・天婦羅  ・三輪のにゅう麺  ・コーヒー  ・和風デザート