《開催レポ》奈良酒ガストロノミーディナーイベント@ホテルアジール・奈良(11/20開催)

和服で楽しむ奈良の旨酒
日本清酒発祥の地・奈良で伝統のEnkaiを満喫!

〝日本が誇る食文化・和食。そのルーツは奈良にあり〟と、「日本の食の聖地巡礼・NARA」プロジェクトは、日本の食のルーツを知り、文化を体験できるガストロノミーツーリズムを企画。2023年度も多彩なプログラム6本が展開されています。
その第3弾は11月20日、ホテルアジール・奈良の大紫路(やまとじ)で、ゲスト31名を迎えて行われました。今回は、世界中で人気の和服〝Kimono〟を着て、料理と奈良酒のマリアージュを華やかに楽しむという趣向での開催でした。さらには目玉イベントとして日本舞踊の披露もありました。
10月22日に奈良ホテルで、11月5日にホテル日航奈良で行われた第1弾・第2弾同様、資料・メニューなどは日本語・英語のものを用意。通訳ガイド2人が司会やゲストの話を同時翻訳するなど、外国人参加者に配慮しました。
※ 本イベントは観光庁地域一体型ガストロノミーツーリズム推進実証第3弾として実施しました。日本清酒発祥の地であり、様々な日本の食文化のルーツを持つ奈良から国内外に向けて新たなNARAブランドを発信し、増え続ける訪日外国人をターゲットとして新たな商品造成と販路開拓を行うことを目的としています。

希望者に着物の着付け体験
想像以上の出来上がりにスマイルがはじける!

オプションで行われた着物の着付け体験は、13人が希望。ベルギーやマレーシア、コロンビアなど6か国からの留学生6人と欧米の在阪領事館関係者の方々4人、旅行会社の方ほか3人の日本人女性がそれぞれ、用意した着物と帯を着付師(株式会社京ろまんグループホールディング)のアドバイスも参考に自分で選び、着付け体験をされました。

足袋を履き、下着、着物、帯と手際よく着付けてもらい、留学生男子は羽織も着用。羽織紐を興深げにそして少し誇らしげに触りながら互いに「よく似合うよ」と褒め合っていました。女子学生さんは、スマホで正面、斜め、後ろ姿とスマホに写ったご自分に「わぁ~♡」とか「ベリー ナイス♪」と、予想を超えた艶姿に感嘆の声を上げ、満面の笑顔を見せられました。

ディナー開宴待ちの間も、着物姿になったことでテンションが上がり、自己紹介の声も弾んで話が盛り上がったようです。

絢爛豪華な打掛が彩る和の華やぎ会場で奈良酒ガストロノミーディナー

会場には綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)の色打掛がディスプレイされ、和の華やぎに包まれた演出でゲストを迎えました。和服を召した7か国以上の方々も、それぞれテーブルに着席、初めて会う同席者同士の会話の糸口に繋がったようです。

開宴に先立ち、主催者である川井徳子プロジェクト実行委員長が挨拶。事業の趣旨、目的、ビジョン等について話し、衣・食・伝統芸能など日本文化の継承の大切さ、それを世界に発信していくことが自分たちの使命であり、真のSDGs につなげられるのではないかと呼びかけ、「奈良の美酒美食の楽しいひとときを!」といざないました。

来賓あいさつ – 日本観光振興協会・酒蔵ツーリズムご担当
〝和醸良酒〟で世界平和を

続いて、日本酒や酒蔵文化を巡るツーリズムが専門の日本観光振興協会・酒蔵ツーリズム担当事務局長の杉野正弘氏から来賓挨拶をいただきました。杉野氏は〝和醸良酒〟、即ち、〝和の心は良酒を醸し、良酒は和の心を醸す〟という言葉を引用、和の心が世界を平和に導けると話し、「本日はお酒を通して和の心を醸していただきたい」と話されました。

杉野正弘氏

乾杯は春日大社企画局長の宇堂清治氏が、神社ならではの作法にのっとり、「いやさか!」(いよいよ栄えて愛でたいことの意)とめでたい言葉で音頭を取り、全員で唱和しました。乾杯用のお酒は、麹歩合99%で仕込んだトロピカルな甘酸っぱさで軽やかな飲み心地の『稲乃花 白(つくも)』(稲田酒造)でした。

ユネスコ無形文化遺産「和食」文化を尊重し、日本清酒&UMAMIのルーツ・奈良がテーマの料理

各席には乾杯の『白(つくも)』に続き、稲田酒造による革新の酒「稲乃花シリーズ」6種が次々に並べられていき、ホテルアジール・奈良の庄村優一総料理長から料理の説明と、それぞれに合う日本酒のペアリングも添えらました。

説明では、ハレの特別な体験をしていただく料理『一の盆』、和食の基本「お出汁(だし)」奈良薬膳を載せた『二の盆』、奈良の郷土料理『三の盆』、『デザート』をお出しするが、発酵食品「味噌(みそ)」の煮る・焼く、の調理による味の違いを楽しんでいただきたいのと、焼きおにぎりを当ホテルこだわりの「お出汁」で茶づけにして、〝旨み(UMAMI)〟を五感で召し上がってほしいと力を込めました。

稲田酒造五代目・稲田光守氏から蔵元トーク
日本清酒発祥の地・奈良で伝統と革新の酒造り

総料理長渾身の料理にマリアージュさせるべく、各ゲストの前には6種のお酒が用意されましたが、それらは全て稲田酒造五代目・稲田光守氏による革新の酒造り「稲乃花シリーズ」でした。その稲田氏から、日本清酒発祥の地・奈良の酒造りの歴史や特徴についての話がありました。

1300年遡る平城宮跡から出土した木簡に「清酒(すみざけ)」「白酒」「黒酒」の記載があったこと、万葉集の枕詞に見られる「味酒(うまざけ)」、そして日本清酒の醸造技術は中世の寺院で確立され、現在奈良市の正暦寺でその酵母「菩提酛」を復元、各蔵でそれを元に醸造していることなどが語られました。

稲田酒造五代目 稲田光守氏

そして酒造りの副産物「酒粕」を使った「奈良漬」もSDGs精神にのっとった奈良の特産品だと強調。さらに、歴史的にもレベルの高い奈良酒生産地にあって、切磋琢磨しながら醸している自社の革新のお酒について触れ、今年の猛暑にも逆にワクワクしながら挑まれたエピソードなどを披露されました。

お酒コーナーには11種の希少酒を冷・燗で。「春鹿」からは今秋の搾りたて新酒2種も

さて、運ばれてくる料理に期待を弾ませながら宴は始まりました。会場の一角に設けられた奈良酒コーナーには、11種類のお酒が冷・燗で用意され、奈良県酒造組合の水上和之氏がスタンバイ。ゲストの質問に答えながら、お薦めの酒をチョイスしてはグラスに注いでいきます。

その中央にはおなじみ「春鹿」の今年の新米で仕込んだ生原酒一番仕込みと純米吟醸『春鹿純米超辛口』が2種並び、株式会社今西清兵衛商店の今西清隆社長から「清々しくて香りよく、華やかなお酒です」と紹介されました。

京ろまんの伊狩千尋さんから着物の話と川勝流・川勝康智彩也さんの日本舞踊

宴も中盤、テーブルで盛り上がり、奈良酒コーナーで盛り上がりをみせている中、京ろまんの伊狩千尋さんから着物の話がありました。

「歴史ある和服ですが、現在では行事での着用ぐらいになってきています。でも海外の方の和服ファッションへの関心は高まりつつあります。和服文化をもっと広めていきたいですね」と話されました。

続いて、川勝流・川勝康智彩也(せんしょうりゅう・せんしょうやすちさや)さんのあでやかな日本舞踊の披露がありました。金屏風前の舞台で1曲目は『鶴の寿』、2曲目は『藤の幻想』でした。

舞い終えた川勝さんは、日本舞踊には、①ミュージカルのようにストーリーがあるもの(踊るパントマイム) ②日本の四季を写し取り、状況を歌詞にしたもの の2パターンがあると話され、先の『鶴の寿』中での所作をクイズに出され、会場一体となって興じました。

和服姿のゲストからは「理解は難しいが、日本の伝統文化が感じられた。もっと学んでいきたい」との感想が出ました。

「このような機会に感謝♪」「人に話したい企画♪」
和服姿の方々から「ブラボー企画」の太鼓判!

終宴にあたり、和服姿の方5名に本ディナーの感想をうかがいました。旅行関係者の女性は「お酒と料理のペアリング体験は初めて。ツアー企画担当へぜひ伝えたい」と話し、「和の伝統文化と奈良酒&和食のマリアージュ企画、大いに愉しめた」と、皆様口々にこの体験を誰かに伝えたいとのことでした。
最後に司会が、「日本清酒発祥の地・奈良には、お酒だけでなく、日本の伝統文化のルーツがそこかしこに今も息づいています。その奈良の多彩な魅力・新たな観光のカタチを、〝始まりの地・奈良〟から共に国内外に発信していきましょう」と結んで終宴になりました。